ヤゴを育てるには、種類に合う餌、きれいな水、水中から登れる足場が必要です。できるだけ一匹ずつ飼い、羽化が近づいたら、触らず静かに見守ります。
ヤゴはトンボの幼虫で、葉ではなく小さな生き物を食べます。「水を入れた虫かごがあれば大丈夫」と持ち帰る前に、餌の入手先と毎日の世話を大人が確認しましょう。
この記事では、学校のプールや池で見られるヤゴを、少数ずつ育てる家庭向けに準備を紹介します。種類によって必要な環境は異なるため、採集場所や姿が分からないヤゴに、同じ方法を当てはめないでください。
ヤゴを迎える前に、三つだけ確認する
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 確認すること | 具体的に決めておくこと |
|---|---|
| どこから来た、どんなヤゴか | 採集した場所と日付、学校などで教わった種類を記録する |
| 餌を続けて用意できるか | 生きたアカムシなど、食べられる大きさの餌の入手先を確認する |
| 羽化まで誰が世話をするか | 給餌、水の確認、休日や留守の日の担当を決める |
学校の救出活動で受け取った場合は、配られた飼育資料や担当者の説明をまず確認します。種類が分からなければ、虫の名前を調べるための写真を残して相談できます。
ヤゴだから数日でトンボになるとは限りません。育ち具合や種類、季節によって期間が変わり、冬を越す場合もあります。夏休みの終わりまでに羽化する、と期限を決めて飼い始めないことが大切です。
ヤゴは何を食べる? 餌は「動く小さな生き物」が基本
ヤゴは肉食です。琵琶湖博物館の解説では、折り畳まれた下あごを使って獲物を捕らえる体のつくりが紹介されています。葉や昆虫ゼリーを置いても、ヤゴの餌にはなりません。
飼育では生きたアカムシやイトミミズなどを使います。餌はヤゴが捕まえられる大きさかを確かめ、まず少量ずつ、食べた様子を見ながら与えます。どの種類にも同じ数を入れるのではなく、食べ残しを増やさないことを考えます。
冷凍アカムシは、そのまま沈めればよい?
冷凍の餌は動かないため、底に置くだけでは食べないことがあります。板橋区の飼育資料(PDF)には、解凍したアカムシをピンセットで持ち、目の前で動かす方法が示されています。
家庭で試すなら、大人が餌の端だけを持ち、道具を体に押し当てないようにします。食べないからと口へ押し込んだり、何度もつついたりはしません。冷凍品は表示に沿って保存・解凍し、生きた餌と同じように必ず食べるとは考えないでください。
幼児は食べる様子を見る係、小学生は食べたかを記録する係から始められます。給餌の細かな操作は、大人が状態を見て担当します。
共食いを避けるため、できるだけ一匹ずつ飼う
ヤゴ同士や、ほかの水生生物を同じ容器へ入れると、食べたり食べられたりすることがあります。「同じ池で採ったから一緒でよい」とは限りません。
川崎市のヤゴ飼育案内も、できるだけ一匹ずつ飼うことを勧めています。家庭で初めて育てるなら、容器を分けると、どの個体が餌を食べたかも確認しやすくなります。
容器を分けた分だけ、餌と水の管理も必要です。たくさん受け取るより、毎日世話できる数にしましょう。メダカやエビを飼っている水槽を、そのままヤゴの住まいに使うのも避けます。
水だけでなく、水中から水面の上へ続く足場を用意する
水道水を使う場合は塩素を除き、今の飼育水と温度差の小さい水を準備します。汲み置きの条件で塩素の抜け方は変わるため、不明な場合は飼育を教わった施設や担当者に確認してください。調整剤を使うなら、対象と水量に合うものを表示どおりに扱います。
水は容器いっぱいに入れればよいわけではありません。たとえば板橋エコポリスセンターの容器資料(PDF)では、シオカラトンボなどの飼育例として水深約4cmと、約30cmの登り棒を示しています。これは具体例であり、すべてのヤゴに共通する水深ではありません。
大切なのは、ヤゴが水中でつかまり、そこから水面の上へ登って羽化できることです。ざらつきのある枝や割り箸などを安定させ、上まで登っても倒れないか、羽を伸ばす所が壁やふたに接しないかを確認します。登り木は、羽化の気配が出てから慌てて入れるのではなく、迎える時点で準備します。
浅い容器へ普通のふたをそのまま閉めると、羽化の空間を塞ぐことがあります。必要な足場と空間を確保しつつ、羽化した成虫が室内で迷わない置き場所も考えます。無理に密閉せず、具体的な容器の組み方は、教わった飼育例に合わせてください。
毎日の世話は、餌・水・居場所を短く確認する
一度に全部をやり直すより、毎日同じ項目を見ておくと、変化に気付きやすくなります。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 見るところ | 見つけたらすること |
|---|---|
| 食べ残しやふん | ヤゴの位置を確かめ、取れる汚れを取り除く |
| 水のにごり、におい、減り方 | 汚れと水量を確認し、必要な水替えをする |
| ヤゴの居場所 | 隠れ家、水中の足場、登り木を使えているか見る |
| 体や食べ方の変化 | 日付と写真を残し、脱皮や羽化の前兆も考える |
水替えの際は、ヤゴや足場を排水と一緒に流さないようにします。汚れた部分を取り除く作業と、容器を洗う作業を分け、全部の水を勢いよく捨てないでください。容器を洗う必要がある場合は、適した水と足場のある予備容器を先に準備します。
上石神井小学校しぜん探検隊の飼育資料(PDF)にも、予備容器を使った手入れが紹介されています。羽化が近いときは移動を優先せず、必要な対応を確認しましょう。空にした容器の手入れは虫かごの洗い方で整理しています。
置き場所は直射日光を避けます。小さな容器は水温が上がりやすいため、見やすいからと日当たりのよい窓辺へ置かないようにします。
底の食べ残しを取る大人には、掃除用スポイトが便利
水槽の底に残った餌を取るとき、ケースを傾けたり、毎回手を入れたりせずに済む道具があると世話を続けやすくなります。
GEX「おそうじラクラク クリーナースポイト」は、小型水槽の底のごみを取る用品です。メーカー仕様では全長約28.5cm、パイプ部分は22.4cm。容器の深さと置き場所に合えば、底の食べ残しを狙って取り除けます。
ただし、ヤゴを吸い込んで移すための道具にはしません。先端をヤゴから離し、大人が少しずつ吸う操作をします。まず虫のいない別容器の水で、吸う量と水が出る動きを確かめると扱いを覚えやすくなります。
毎日の底掃除をしやすくしたい家庭に向く、世話のための買い足しです。 水質管理そのものを不要にする道具ではありません。手持ちのスポイトで安全に届いているならそのままで十分です。購入する場合は、長さと通常タイプ・ロングタイプの違いを確認してください。
水槽の底の食べ残しを、狙って取り除くために
ヤゴの居場所を確かめながら底の食べ残しを取りたいなら、GEX「おそうじラクラク クリーナースポイト」が候補です。全長約28.5cmで、水槽に手を入れずに届く長さがあります。ヤゴを吸う道具ではなく、大人が残った餌やごみを取るために使います。容器の深さと作業場所に合うか、ロングタイプと間違えていないかを確認してください。

おすすめの理由: 小型水槽の底の食べ残しやごみを、手を入れずに取り除く道具。大人がヤゴの位置を確認して使います。
選ぶときに見る所: 全長約28.5cm、パイプ部分22.4cm。ロングタイプとは別。ヤゴを吸わないよう先端を離し、容器に合う長さか確認。Amazon・Yahoo!はJAN4972547026545の検索結果です。
餌を食べないときは、羽化だけと決めつけない
餌を食べないときは、次の順で確認します。
- 餌が大きすぎないか、動く餌か、食べていた種類と違わないかを見る。
- 水の汚れ、急な温度変化、直射日光を確認する。
- 脱皮の前後や、羽化の準備らしい変化がないかを振り返る。
- 食べない状態が続く、体に気になる変化がある場合は、写真と経過を添えて相談する。
羽になる部分がふくらむ、水面から顔を出すことが増えるなどは、羽化が近い手がかりです。ただし、食べないことだけで「明日トンボになる」とは判断できません。反応を確かめるためにつつかず、見た変化を残します。
羽化が始まったら、容器を動かさずに見守る
登り木に上がったヤゴを、写真に撮りやすい向きへ回したり、手で移したりしません。トンボの体が出て羽が伸びる間も、そのまま静かに見守ります。強いライトを当て続けることも避けます。
夜から朝方に羽化することがありますが、観察のために子どもが無理に起き続ける必要はありません。朝に残った抜け殻や姿の変化を見ても、記録になります。「羽化した瞬間は見ていない」と分けて書きましょう。
羽化後は、体と羽が十分に落ち着くまで触りません。石川県ふれあい昆虫館の資料(PDF)も、成虫を狭い虫かごに入れ続けると羽や体を傷めることを説明しています。小さなケースでそのまま長く飼い続ける前提にはしないでください。
地域の活動で育てた個体をいつ、どこへ戻すかは、採集した由来と活動の方針を確認します。購入した個体や、別の地域から来た個体を近くの池へ放すことはしません。持ち帰る前の確認も合わせて読めます。
観察記録は、世話の記録と並べる
日付、餌を与えたか、食べたか、水替え、居場所、体の変化を一行ずつ残します。子どもが姿を描き、大人が世話を書き添えてもよいでしょう。
観察ノートの項目を使うと、後で「食べなくなったのはいつから?」と振り返れます。飼育がうまくいかなかった場合も、子どもだけの責任と決めず、記録を見て環境や世話を一緒に振り返ります。
よくある質問
ヤゴに金魚の餌をあげてもよいですか?
金魚用の人工飼料を置くだけで育てられるとは考えないでください。種類や大きさに合う餌を確認し、生きたアカムシなど、実際に食べられる餌を継続して用意します。
水替えは毎日、全部替えますか?
毎日水と食べ残しを見て、汚れに応じて手入れします。全部を替えることを日課にせず、種類や飼育方法に合わせます。塩素を除き、温度差の小さい水を準備してください。
羽化を手伝って殻を外してもよいですか?
無理に殻を外したり、体を引っ張ったりしません。羽化中は傷つきやすいため、触れず、容器や登り木も動かさずに見守ります。






