チョウが来る庭を作りたいなら、成虫に蜜を吸いに来てほしいのか、幼虫が育つ姿も見たいのかを先に決めます。前者には花、後者にはチョウの種類に合う「食草」が必要です。
大きな庭でなくても、置ける鉢と世話できる植物から始められます。ただし、植えれば必ずチョウが来るわけではありません。花や葉の成長も親子で楽しみながら、訪れを待つ計画にしましょう。
花の蜜と幼虫の食べ物は、別に考える
食草(しょくそう)は、幼虫が食べる植物のことです。木を食べる場合は食樹(しょくじゅ)とも呼ばれます。一方、成虫が蜜を吸う花は「蜜源植物」と呼びます。
JT生命誌研究館の食草園でも、幼虫の食べ物となる植物と、成虫が蜜を吸う季節の花を育てています。チョウが花に止まったからといって、その葉を幼虫も食べられるとは限りません。
親子では「大人のチョウが食事する花と、幼虫が食べる葉は違うことがあるんだね」と話すと、選ぶ目的が分かりやすくなります。
見たいチョウから、育てる植物を選ぶ
まずは、近所で見かけるチョウを候補にします。その地域にいない種類を、植物だけで呼び寄せることはできません。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 観察したいチョウ | 幼虫の食草の例 | 家庭で選ぶときの考えどころ |
|---|---|---|
| ナミアゲハ | ミカン類、サンショウ類 | 木として育つので、日当たりや将来の大きさも考える |
| キアゲハ | パセリ、ニンジンなど | 草本から始められるが、幼虫が育つと葉を多く食べる |
| ツマグロヒョウモン | スミレ、パンジー、ビオラ | 花だけでなく葉が食べられることを家族で了解しておく |
| モンシロチョウ | キャベツなどのアブラナ科 | 収穫用の野菜と、観察用に残す株を分けて考える |
福岡市のチョウと食草の解説でも、ナミアゲハとミカン類、ツマグロヒョウモンとスミレ類などの関係が紹介されています。同じアゲハの仲間でも、キアゲハの幼虫はパセリなどを食べるので、ひとまとめにしないで選びます。
小さな一株で、見つかった幼虫を何匹でも育てられるわけではありません。「葉がなくなったら何を用意できるか」まで考えておくと、観察を続けやすくなります。
成虫を眺めたいなら、咲く花から始める
花に来る姿を見たい家庭には、ジニア(ヒャクニチソウ)やマリーゴールドなどが候補です。日本チョウ類保全協会の庭づくりの資料でも、吸蜜植物として紹介されています。
ただし、同じ名前でも品種によって背丈や花の形、育て方が違います。地域で育つ時期、置く場所の日当たり、鉢で育てられる大きさを園芸店や種苗の案内で確認します。花だけを選ぶ場合は、幼虫の飼育まで一度に始めなくても構いません。
苗を買う前に、置く場所を決める
庭では、通る人や自転車の邪魔にならず、子どもが地面から眺められる場所を選びます。風で鉢が倒れないか、水や土が周りへ流れないかも見ます。
ベランダは、花を置ける空間があっても、そのまま子どもの遊び場にはできません。東京都の転落防止の案内に沿い、柵の近くへプランターや台などの足場を作らず、子どもだけで出さないようにします。
集合住宅では管理規約も確認し、避難ハッチや隣戸への通路を塞がない配置にします。安全な設置が難しければ、鉢を増やす前に、室内から大人と一緒に眺める方法や、近所の花壇での観察を選びましょう。虫を追って手すりの外へ手を伸ばす必要はありません。
食草の苗は、葉を食べる虫のために育てる
見た目のきれいな苗でも、栽培中に使われた農薬が幼虫へ影響する場合があります。食草として使う苗は、販売者へ用途を伝え、農薬の使用履歴などを確認できるものを選びます。「水で洗えば必ず大丈夫」とは考えません。
自分で育てる場合も、虫を観察したい株へ、虫を防ぐ薬剤を習慣で使わないよう管理を分けます。農薬を使う必要が生じたときは、製品の表示と販売者などの案内を確認し、幼虫の食草としての扱いを見直します。
葉が食べられることを「失敗」にしないのも、観察用の鉢の大事な準備です。花をきれいに咲かせる株、野菜を収穫する株、幼虫を見る株を家族で分けておけば、誰かが知らずに幼虫を取り除く行き違いを減らせます。
草花を育てる鉢が必要なら、置き場所を測って選ぶ
パセリなどの草本や花を、庭の一角で鉢から育てたい場合には、リッチェル「ハナール 深型プランター45型」が候補です。メーカーの仕様では、幅45.5×奥行22.5×高さ23cm、土容量11L。アイボリーの本体重量は615gです。
これは空の容器の重さです。土と水、植物が入れば重くなるため、子どもが持ち運ぶ前提にはせず、大人が置き場所を決めます。植える株数は植物の株間や根の広がりに合わせます。柑橘の木を長く育てる鉢として一律に勧めるものではありません。
水抜き穴と止水栓があります。育てる植物に合わせて排水できる状態にし、土や水が周囲へ流れないように使います。苗と土は付属しないので、それぞれ用意してください。
「この一角の葉がどう変わるか」を毎日親子で見たいなら、育てる株を決めて鉢にまとめると観察を続けやすくなります。 手持ちの鉢で育てられるなら追加は不要です。新しく用意する場合は置き場所を測り、45型・11L・アイボリーかを確認して選んでください。
草花を育てる一角を、鉢から作る
庭の限られた場所でパセリなどの草本や花を育てるなら、幅45.5cm・土容量11Lの深型プランターが候補です。先に置き場所を測り、育てる植物の株間と根の広がりに合うかを確認してください。土と苗は別に用意します。

おすすめの理由: 庭の限られた一角で、パセリや草花などを鉢で育てて観察したい家庭に。幅45.5×奥行22.5×高さ23cmの深型です。
選ぶときに見る所: 土・苗は別に用意します。植物の育つ大きさに合うか、11Lの土と水が入った重さでも置けるかを確認。柑橘などの長期栽培には成長に応じた鉢が必要です。
虫が来たら、植物と一緒に記録する
チョウの名前だけでなく、どの植物のどこにいたかも残します。同じ鉢を毎日見ると、「昨日と違う」が見つけやすくなります。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 見つけたもの | 写真やメモに残すこと | その後の見方 |
|---|---|---|
| 花に止まるチョウ | 花の名前、日時、チョウの姿 | 別の日にも同じ花へ来るか |
| 葉の上の卵らしい粒 | 葉の表裏、位置、見た目 | 動かさず変化を待つ。卵と断定しない |
| 幼虫と食べ跡 | 植物の名前、体の特徴、葉の残り | 餌が足りるか、姿が変わるか |
| 蛹らしいもの | 付いている場所と見つけた日 | 水を直接かけたり、はがしたりしない |
知らない幼虫は、見た目だけで触ってよいと判断しません。まず写真で特徴を確認し、注意したい虫も知っておきます。
自然に訪れた虫を、その場で見るだけでも観察になります。ケースへ移して育てる場合は、必要な食草や空間を先に確認します。モンシロチョウなら卵から育てる準備へ、餌の葉を替える道具は葉の交換に使うピンセットへ進めます。
チョウが来ないときは、何を見直す?
花が咲いているか、植物が元気か、近所でそのチョウを見かける時期かを見ます。ベランダの高さや風の当たり方、周囲の環境も違うため、「何階なら必ず来る」とは決められません。
植物を次々と増やしたり、他の場所から虫を連れてきて放したりせず、まず今ある株を育てます。花に来る別の虫や、葉の成長も記録できます。季節の目安は昆虫観察カレンダーを使ってください。
よくある質問
幼虫が葉を全部食べそうです。別の葉を入れてよいですか?
種類によって食べる植物が違うため、近くの葉で代用しません。幼虫の種類と食草を確かめ、農薬の使用履歴なども確認できる同じ種類の植物を用意できるか考えます。
花が咲けば、必ず卵も見つかりますか?
成虫が蜜を吸う花と、幼虫の食草は別の場合があります。食草を育てても、地域や時期、周囲の環境によって産卵するとは限りません。花へ来る姿を見る楽しみも含めて始めます。
ベランダでは、チョウを網で追いかけてよいですか?
追いかけません。手すりへ近づいたり、外へ手を伸ばしたりせず、大人と静かに眺めます。安全な観察場所を確保できない場合は、室内から見るか、地上の公園などで観察します。






