アリの行列は、捕まえなくても自由研究の題材になります。通り道の一点を決め、同じ長さの時間で、右向き・左向きに何回アリが通ったかを数えてみましょう。
調べるのは、見ている場所を通った回数です。同じアリが戻ることもあるため、「何匹のアリがいるか」や「巣に全部で何匹いるか」を測ったことにはなりません。この違いを最初に決めておくと、結果を正しくまとめられます。
最初の問いは「同じ時間に、どちら向きが多く通る?」
行列を見つけると、餌の好み、歩く速さ、巣の中など、いろいろ知りたくなります。最初は問いを一つに絞りましょう。
この記事では「同じ場所で、右向きと左向きの通過回数に違いがあるか」を調べます。巣がどちらか分からなくても、方向を右・左と決めれば始められます。予想も「右向きが多そう」など、子どもが考えた言葉で一文残せば十分です。
低学年なら大人が時計を見て、子どもが片方の向きを数える方法から。両方向を同時に数える場合は、大人がもう片方を担当すると、数え間違いを減らせます。役割を分けたことも方法に書いてください。
アリはなぜ行列を作るの?
餌場へ仲間を案内するとき、道しるべフェロモンという化学物質を使って行列を作るアリがいます。仲間が残したにおいを手がかりに、同じ道を行き来するしくみです。伊丹市昆虫館の「アリの世界」で、その様子が解説されています。
ただし、今回数えるだけで「においを使っている」と実験で証明できるわけではありません。図鑑などで知ったしくみと、自分が見た結果を分けて書きましょう。見つけたアリが、どの種類も同じような行列を作るとも限りません。
水や酢を流したり、通り道をこすったりしなくても、動きを数える研究はできます。自然にできた行列を、そのまま観察します。
用意するものと、観察場所の選び方
必要なのは、紙、鉛筆、時間を測れる時計やスマートフォンです。動画で確認したい場合も、まず手持ちの機器で短く試せば十分。虫かごや捕虫器は必要ありません。
場所は、大人と一緒に安全に立ち止まれるところを選びます。車道の端、階段、通行を妨げる場所、立ち入りのできない植え込みは避けてください。アリを手でつまんだり、巣穴を掘ったりもしません。刺す種類もいるため、名前が分からないアリへ手を近づける必要はありません。
夏の観察は、涼しく安全に過ごせる時間に短く行います。「暑い時間と比べるため」に無理をせず、親子の暑さ対策を優先しましょう。公園の観察ルールも確認できます。
数える手順|通る場所と時間をそろえる
- 行列の途中で、見分けやすい石の角や地面の模様を一つ選ぶ。
- そこを横切る見えない線を想像し、線を越えたときに1回と数える。
- 試しに30秒数え、速すぎず、見失わずに続けられるか確かめる。
- 本番では30秒なら毎回30秒とそろえ、3回ほど記録する。
- 開始時刻、左右の通過回数、気づいたことを残す。
30秒・3回は始め方の例で、決まった正解ではありません。数が多すぎる場合は、動画を後から再生する方法や、片方向だけを調べる方法に変えても構いません。変更前後の記録は分け、違う時間の回数をそのまま比べないようにします。
右へ通ったアリが戻って左へ通れば、右1回・左1回です。折り返したアリを追い続けるのではなく、決めた線を越えたときだけ数えます。目印のために、アリの上へ定規を置いたり、道を塞いだりしないでください。
記録表には、数えにくかった回も残す
次は書き方を示すための架空の例です。実際の観察結果ではないので、自分が数えた値に置き換えてください。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 回 | 開始時刻 | 数えた時間 | 右向きの通過回数 | 左向きの通過回数 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 9:00 | 30秒 | 12回 | 8回 | 同じ石の角で数えた |
| 2 | 9:03 | 30秒 | 10回 | 11回 | 雲が広がった |
| 3 | 9:06 | 30秒 | 数えきれず | 9回 | 右向きの数を途中で見失った |
3回目の右向きを「0回」と書き換えてはいけません。見ていて一度も通らなかった場合の0回と、数えられなかった場合は別です。数えきれなかった回を残し、余裕があれば同じ方法でもう一度行います。
写真や動画を使ったら、ファイル名もメモに残してください。観察位置の簡単な絵があると、次の日にも同じ場所を探しやすくなります。観察ノートの書き方も使えます。
結果と考察を、別の文にする
結果は自分が確かめたこと、考察はその結果から考えたことです。予想と違っても、数字を直す必要はありません。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 書く場所 | 上の架空の例なら |
|---|---|
| 結果 | 1回目は右向きが多く、2回目は左向きが1回多かった |
| 考察 | この2回だけでは、いつも同じ向きが多いとはいえない |
| 次の問い | 別の日も同じ場所・同じ時間の長さで数えるとどうなるか |
「雲が出たから数が変わった」とは、この記録だけでは言えません。餌の状態や行列の変化など、ほかの理由も考えられます。巣の方向が未確認なら、「帰るアリが多かった」と言い換えず、観察した右・左のまま説明しましょう。
同じ長さの時間でそろえた結果は、回ごとに左右2本の棒を並べると比べやすくなります。縦軸には「通過回数(回)」と書き、自由研究の表とグラフの作り方で目盛りを確認できます。
表とグラフをまとめるなら、広い方眼ノートが便利
現地では小さなメモ、家では大きな紙という分け方でも進められます。記録から考察まで1冊に残すなら、A4の方眼ノートが候補になります。
コクヨのキャンパスノート・ノ-201S5は、A4・5mm方眼・40枚。表の列幅をそろえたり、左右の棒を並べたりする目安に方眼を使えます。記入項目が印刷された自由研究キットではないので、この記事の表を参考に自分で線を引いて使います。
数字のメモがばらばらになりやすく、観察からまとめまで一続きで残したい家庭なら、研究用の1冊を用意すると見返しやすくなります。学校の指定サイズを確かめたうえで、下のリンクからA4・5mm方眼・単冊かどうかを確認して選んでください。すでに使いやすいノートがあれば、その続きから始めて構いません。
数えたメモから、比較する表まで1冊に残す
アリの通過回数を方向別に書き、帰宅後に棒グラフへまとめるなら、A4・5mm方眼のキャンパスノートが候補です。表と考察を広い見開きに置けます。学校指定の用紙がある場合はそれを優先し、自分用に記録を残す1冊が必要なときに選んでください。
おすすめの理由: 絵や写真を大きく置き、気づいたことや日付ごとの表を並べたい子に。A4・5mm方眼・40枚の一冊です。
選ぶときに見る所: 縦297×横210mm。家の机で広げて使うのに向きます。観察用の記入欄はないので、書きたい項目を自由に並べられます。
高学年なら、同じ方法を別の日にも繰り返し、「今回言えること」と「まだ分からないこと」を増やせます。高学年の昆虫自由研究では、問いの絞り方を詳しく紹介しています。別の虫の動きに興味が出たら、ダンゴムシの迷路研究へ進めます。
よくある質問
一日だけでも自由研究になりますか?
問い、方法、結果、考えたことを残せば、一日の観察でもまとめられます。ただし、一日分から季節全体やアリ全体の決まりを断定しないようにしましょう。
同じアリを何度も数えてしまいませんか?
同じアリが戻ってくる可能性があります。この研究は個体数ではなく、決めた場所の通過回数を数えます。タイトルやグラフにも「通過回数」と書くと伝わります。
行列が見つからないときは餌をまいてもいいですか?
この記事の方法では餌をまかず、自然にできた行列を探します。見つからなかった日も記録し、場所のルールを守って別の日に探すか、身近な別の虫を題材にしましょう。






