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虫を知る

アリはなぜ行列を作る?においの道と運ぶもの

園路で母親と子どもがしゃがみ、手を膝に置いて足元の小さなアリの行列を眺めるイラスト

アリの行列は、地面に残す道しるべフェロモンを仲間がたどることでできます。食べ物を集めるときだけでなく、引っ越しで列を作ることも。しくみの図と、行き先・運ぶものを親子で見るヒントを紹介します。行列を作らずに歩くアリとの違いも分かります。

アリの行列は、地面に残した「道しるべフェロモン」という物質を、仲間がたどることでできます。 食べ物を集めるときや、引っ越すときに見られる行動です。ただし、すべてのアリが長い行列を作るわけではありません。

散歩中、足元に細い列を見つけたら、親子で少し立ち止まってみましょう。小さな一匹を目で追うと、進む方向や運ぶものの違いに気づくかもしれません。

においの道しるべを、仲間がたどる

食べ物を見つけたアリが巣へ戻る途中で、地面に道しるべを残します。それを別のアリがたどると、食べ物のある場所へ行けます。この道案内に使われる化学物質が、道しるべフェロモンです。

食べ物を見つけたアリが巣へ戻る道に目印を残し、仲間がたどって行列になる3段階の模式図
色の線は、目に見えない道しるべフェロモンを表したものです。食べ物を集める行列ができる流れを、形や数を簡略化して描いています。 図を選ぶと拡大できます。

アリは、頭にある触角でこの物質を感じ取ります。前を歩く一匹の姿についていくだけでなく、地面に残った手がかりを使っているのです。

同じ道を通る仲間も道しるべを残すと、その道はさらにたどられやすくなります。こうして、巣と食べ物の間を行き来するアリが増え、私たちには一本の行列に見えてきます。伊丹市昆虫館のアリの講座資料にも、このしくみが紹介されています。

フェロモンは、地面に描かれた色の線ではありません。図の色は、目に見えない道しるべを説明するために付けています。実際の観察では、線そのものではなく、アリがどこを通るかに注目してみてください。

食べ物を運ぶ列と、引っ越しの列がある

行列を見つけたら「この先には食べ物があるのかな」と考えたくなります。でも、列を作る目的は食べ物集めだけではありません。

引っ越しでは、幼虫やさなぎなどをくわえて運ぶ姿が見られます。白っぽい小さなものを運んでいても、遠くから見ただけで「パンくずだ」と決めず、形や行き先を見てみましょう。日本自然保護協会のアリの行動観察では、食べ物を集める行列と引っ越しの行列の違いが説明されています。

反対に、口に何も持っていないように見えても、空荷とは限りません。液体の食べ物を体内にためて持ち帰るアリもいます。外から見える荷物だけで、その一匹が何をしているか全部は分からないのも、アリの面白いところです。

一匹で歩くアリもいる

近くにアリがいるのに行列が見つからなくても、探し方が悪いとは限りません。長い行列を作らず、単独で活動する種類もいます。

「アリは必ずみんなで並ぶ」と覚えるより、「列を作るものも、一匹で歩くものもいる」と見てみましょう。一匹が葉の下へ入ったら、別の場所から出てくるかを待つだけでも観察になります。

また、アリが道を探す手がかりは、においだけとは限りません。種類や場面によっては、太陽の方向なども使います。触角の働きとこうした行動は、研究者による『アリの行動と化学物質』の解説でも紹介されています。行列の説明を、そのまますべてのアリの歩き方へ当てはめないようにします。

行き先と運ぶものを、親子で見てみよう

公園の道など、足を止めて眺められる所で、列の一部分を選びます。最初から端まで追いかけなくても、目の前を通る一匹から始められます。

見るところ親子で気になること
進む方向同じ向きばかり? 反対から来るアリもいる?
運ぶもの何かくわえている? 一匹で運ぶ? 仲間も来る?
列の曲がり角小石や葉のそばで、どちらへ曲がる?

子どもが「あの一匹、大きなものを持ってる」と言ったら、その動きを一緒に追ってみます。何を運んでいるか分からなければ、「白くて丸い」「体より長い」と、見えた形を話すだけでも十分です。

道をこすったり、食べ物を置いたりせず、今ある行列をそのまま眺めます。アリや巣には触れず、道路や入れない場所へ列が続いていたら、見える所までにしましょう。ヒアリが疑わしい集団や巣への対応は、見つけたときの対応と相談先に分けています。

一匹を見失ったら、また目の前へ来た別の一匹を選べます。「今度は何を運んでいるかな」と眺めるうちに、同じ道にもいろいろな動きが見えてきます。ほかの虫でも気になった動きを追いたくなったら、初めての昆虫観察も参考になります。

よくある質問

行列の先には、必ず食べ物がありますか?

食べ物を集める行列もありますが、引っ越しで列を作ることもあります。幼虫やさなぎを運ぶ姿が手がかりになりますが、離れて見ただけで分からないときは、無理に目的を決めなくてもかまいません。

何もくわえていないアリは、何も運んでいませんか?

液体の食べ物を体内にためて運ぶアリもいます。口に荷物が見えないことだけでは、何も運んでいないとは言い切れません。

一匹で歩くアリは、行列から迷子になったのでしょうか?

長い行列を作らず、単独で活動する種類もいます。一匹で歩いている姿だけで迷子とは決められません。まずは、どちらへ進むかを眺めてみてください。