コオロギやスズムシは、2枚の前翅(まえばね)をこすり合わせ、振動させて音を出します。 エンマコオロギやスズムシでよく聞く鳴き声は、成虫のオスが出すものです。スズムシも、コオロギの仲間に入ります。
散歩の途中で「リーン」「コロコロ」と聞こえたら、親子で足を止めてみましょう。姿が見つからなくても、短く切れる音と長く続く音を聞き分けるところから楽しめます。
背中の2枚の前翅をこすって、音を生む
前翅は、背中にある一対のはねです。鳴くときはこの2枚を重ねて動かし、こすり合わせます。そこで生じた振動が空気に伝わり、私たちの耳へ音として届きます。
口を開けて歌っているように思えても、音を作っているのは背中のはねです。千葉県教育委員会の「鳴く虫をさがしてみよう」には、コオロギの翅の重なりと、スズムシも同じように音を出すことが図で紹介されています。
音と一緒に動いている所が見つかると、「ここが鳴っていたんだ」と体の見え方が変わります。ただし、小さな動きなので、遠くから一度見ただけでは分からないこともあります。
オスの音は、仲間への呼びかけ
エンマコオロギやスズムシのオスは、音でメスを呼びます。鳴く虫には、近くに別のオスがいるときなどにも音を使うものがあり、鳴き方はいつも同じとは限りません。
京都府の「京の虫の音ブックレット」では、鳴く虫の多くがオスで、求愛や縄張りを伝えるために音を使うことが説明されています。草むらの音を、虫同士のやり取りだと思って聞くと、声が重なったり途切れたりするのも気になってきます。
仲間の音を聞く耳は、コオロギ類では前脚にあります。人のように頭の横にあるわけではないのです。この耳の位置や鳴き方の違いは、博物館研究者による日本自然保護協会の鳴く虫の解説にも載っています。
「何の虫?」の前に、音の続き方を聞いてみよう
コオロギにはいろいろな種類がいて、声も一つではありません。よく知られるエンマコオロギとスズムシでも、音を文字で表すと次のような違いがあります。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 虫 | 音を文字にした一例 | 聞いてみたいところ |
|---|---|---|
| エンマコオロギ | コロコロコロリー | 細かく転がるような音から、終わりがどう続くか |
| スズムシ | リーン、リリーン | 一つの音がどれくらい伸び、次までどんな間があるか |
文字は聞こえ方の目安です。同じ声でも、人によって「リリリ」「ヒリヒリ」と違う言葉に聞こえることがあります。鳴く場面でも変わるので、文字がぴったり合わないからといって別の虫とは決められません。
まずは一つの音を選び、親子で黙って聞いてみます。「私は長い音を聞いてた」「ぼくは短いほう」と、別の声に気づいていたことが分かるかもしれません。名前を当てるより、今聞こえる違いを面白がってみてください。
姿が見えたら、翅を動かすところに注目
通れる道から姿を見つけられたら、音が出ている間の背中を見ます。スズムシは、前翅を大きく立ててこすり合わせます。相模川ふれあい科学館のスズムシ解説でも、この動作が紹介されています。
鳴きやんだら、つついたりケースを揺らしたりして鳴かせようとせず、少し待ってみましょう。草をかき分けて追い詰めなくても、聞こえてくる音だけを楽しめます。
外で聞く日は親子で一緒に、足元が見える道で立ち止まります。帰り道が暗くなる前に戻り、夜の観察を計画する場合は親子の夜の虫取りで道と明かりの準備を確かめてください。
帰り道でも同じ音が聞こえたら、「さっきの声に似てるね」と話せます。次の散歩では、親より先に子どもが気づくかもしれません。色や跳び方も気になったら、秋の虫取りの遊び方へ。音が気になった一匹を、今度は目でも探してみましょう。
よくある質問
スズムシとコオロギは別の仲間ですか?
スズムシもコオロギの仲間です。エンマコオロギなどとは姿や声が違いますが、2枚の前翅をこすり合わせて音を出すしくみは共通しています。
メスも同じように鳴きますか?
エンマコオロギやスズムシでよく聞く鳴き声は、成虫のオスが出します。ただし、音を出す昆虫すべてが同じしくみや雌雄の違いを持つわけではありません。
声だけで姿を見つけられなくても、観察になりますか?
音の長さや間、聞こえる方向を比べるだけでも楽しめます。無理に草の中へ入らず、名前が分からない音も「長く続く声」「短く切れる声」と聞き分けてみましょう。






