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自由研究

昆虫標本の作り方
死んだ甲虫と抜け殻を親子で残す

父親と子どもが、抜け殻の標本に添える記録を描いているイラスト

昆虫標本の作り方を、軟化・展足・乾燥の3段階で解説。死んだ飼育個体の保存、専用の昆虫針を使わない方法、抜け殻とラベルの残し方、カビと虫食いを防ぐ保管を紹介。お湯・針・防虫剤は大人が扱います。

夏のあいだ世話をしたカブトムシとのお別れに、子どもが「残したい」と言う。そんなときの選択肢が昆虫標本です。作り方は、硬くなった体をやわらかくする「軟化」、脚や触角の形を整える「展足」、十分に乾かす「乾燥」の3段階。専用の昆虫針がなくても作れますが、形を支えるまち針やお湯は大人が扱います。

この記事は、寿命を迎えた飼育個体、公園で拾った死骸、セミの抜け殻を標本にする親子向けです。生きている虫を標本のために殺す方法は扱いません。博物館や科学館が公開している手順をもとに、家で失敗しにくい順番と、子どもに任せられる工程をまとめました。

昆虫標本の作り方は3段階|軟化・展足・乾燥の流れ

大人と分担して残す。軟化・展足:お湯と針は大人が扱う。乾燥:急がず、状態を見て確かめる。記録・保管:名前・日付・場所を添える
死んだことを確かめてから作業します。生死が分からない虫は、お湯や冷凍庫へ入れません。 図を選ぶと拡大できます。

まず全体の流れを見てから、今日できるところまで進めます。作る工程は軟化・展足・乾燥の三つで、その後に保管します。展足まで進めても、乾燥には2週間ほどかかります。

表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。

段階すること目安の時間使う物
1 軟化硬くなった体をお湯につけ、脚とあごが動くか確かめる数十分深めの容器、お湯、ピンセット
2 展足発泡トレイの上で脚と触角を整え、針や紙で固定する30分〜1時間発泡トレイ、まち針か昆虫針、紙
3 乾燥風通しのよい日陰で、形が崩れないよう乾かす約2週間ほこりよけの箱、防虫剤
4 保管乾いたら密閉できる箱へ移し、ラベルを付ける乾燥後標本箱か密閉容器、防虫剤、ラベル

伊丹市昆虫館の案内では乾燥は風通しのよい場所で約2週間、鹿児島県立博物館の手引きでは最低10日以上とされています。乾ききる前に箱へ入れるとカビが出やすいので、乾燥は急がず、十分に乾くまで待ちましょう。

飼っていたカブトムシが死んだら|生死を確かめてから保存する

動かないだけでは、死んだと判断できません。生死が分からない虫を冷凍庫やお湯に入れないでください。 先に動かなくなったカブトムシの見守り方を確かめ、判断に迷う場合は飼育店や昆虫を扱う施設へ相談します。

死んだ虫は、時間がたつと硬くなり、腐敗も進みます。早めに作業するのが基本ですが、「2日たったら一律に作れない」という期限ではありません。強いにおいがしたり体が崩れたりしているものは無理に加工せず、元気だった頃の写真を残す方法もあります。

死んだことを確認でき、作業日まで保存したい場合は、仙台市科学館が紹介する冷凍保存が選択肢になります。大人が密閉袋へ入れ、内容と日付を記して食品と区別します。解凍は袋を閉じたまま常温で行い、結露が落ち着いてから取り出してください。標本にするかどうかは子どもの気持ちも聞いて決めましょう。

カブトムシ・クワガタの標本を簡単に作る|専用の昆虫針を使わない方法

専用の昆虫針がなくても、甲虫の標本は作れます。愛媛県総合教育センターの手順は、体を貫通させる針は刺さず、脚や触角をまち針で押さえて形を決め、体が固まったら仮止めのピンを外す方法です。資料には約1週間という例もありますが、体の形が固まることと、箱に収められるほど乾くことは別です。小さな虫は、博物館の手引きでも厚紙の台紙に木工用ボンドで貼る方法が標準です。

家にある物でそろえると、次のようになります。

表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。

役割家にある物・100均で買える物使い方
展足の台発泡スチロールのトレイ、梱包材虫を置き、針を刺して脚を押さえる
押さえる針まち針、虫ピン脚の両側に×の形に刺し、脚そのものには刺さない
軟化の容器深めの保存容器お湯を入れ、虫を沈めて脚が動くまで待つ
整える道具ピンセット、つまようじ脚と触角の向きを少しずつ直す
固定木工用ボンド取れた脚や触角を付け直す。小さな虫は台紙に貼る
保管箱ふた付きの透明な容器、お菓子の缶乾燥後、衣類用の防虫剤と一緒に入れる

これは「体に針を通さない」方法で、展足中はまち針を使います。針をまったく使いたくなければ、セミの抜け殻を無理に整えず台紙へ貼り、ラベルを添える方法から始めましょう。標本に使った容器は食器や食品保存に戻しません。

針で作る昆虫標本の手順|針の位置・号数・脚の向き

博物館のやり方で作るなら、昆虫針を使います。伊丹市昆虫館の案内では、針は0号から6号まであり、初めてなら3号がおすすめ。刺す位置は右の前翅(まえばね)で、体に対してなるべく垂直に刺します。

  1. 軟化した虫を発泡トレイに置き、右の前翅の付け根近くに針を垂直に刺す。
  2. 前脚は前へ、中脚と後脚は後ろへ向ける。仙台市科学館の資料のように、脚の両側に針を2本、×の形に刺して押さえる。
  3. 触角は左右対称に。クワガタの大あごが下がるときは、小さく丸めた紙を下に置いて支える。
  4. 乾燥中に少しずつ形を直してよい。乾いてから動かすと折れる。

この手順はカブトムシやクワガタなどの甲虫向けです。別の仲間へ同じ位置を当てはめず、伊丹市昆虫館の図も確認してください。針を刺すのは大人が担当し、子どもとは見やすい脚の向きを相談します。

昆虫標本の乾燥と保管|カビ・虫食いを防ぐ期間と防虫剤

乾燥は、直射日光の当たらない風通しのよい場所で行います。鹿児島県立博物館は、乾燥中の虫食いを避け、湿気の少ない暗い場所で保管するよう案内しています。約2週間という日数は目安です。虫の大きさや室内の湿度で変わるため、日数だけで乾燥完了と決めないでください。

乾いた標本も虫に食べられることがあります。伊丹市昆虫館は、密閉性の高い箱と衣類用の防虫剤を使う方法を紹介しています。防虫剤は大人が製品表示を確認し、用量・交換時期を守って扱います。種類の違う防虫剤を混ぜず、子どもが取り出せない場所に保管してください。

カビや虫食いを見つけたら、まず他の標本と箱を分けます。子どもに薬剤で洗わせず、処置を迷うものは博物館などに相談しましょう。

昆虫標本で子どもがやる工程・大人がやる工程

子どもが担当するのは、やってみたいことから選びます。以下は役割分担の例です。年齢だけで任せず、お湯・針・防虫剤は大人が扱ってください。

表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。

工程幼児(3〜5歳)小学校低学年小学校高学年大人
お湯で軟化する離れて見る離れて時間を計る手順を記録するお湯と容器を扱う
脚の向きを決める「こっち」と指すピンセットで1本ずつ自分で左右の対称を見る
針を刺す・外す見る見る形を相談するまち針も昆虫針も扱い、本数を数える
乾燥中の見回り一緒に見る日付を記録する写真で変化を記録するカビや虫食い、防虫剤を確認する
ラベルを書く絵を描く名前と日付場所と飼った期間も書き損じの予備

ラベルには、虫の名前、日付、捕まえた場所か飼い始めた日を書きます。採集日、亡くなった日、標本を作った日が違うときは、区別して書いておくと振り返りやすくなります。「7月に公園で捕まえて、9月まで家にいた」と書けば、標本はその夏の記録そのものになります。

セミの抜け殻やクワガタの大あごだけでも標本にできる?

できます。セミの抜け殻は、脚や触角が取れやすいので、ティッシュを敷いた小箱などに入れて持ち帰ります。最初は脚を無理に広げず、そのままの形で残して構いません。木工用ボンドで台紙に貼り、ラベルを付ければ立派な標本です。

鳥や車にやられて脚やあごだけが残っていた虫も、台紙に貼れば残せます。全部そろっていなくても、「これは誰の?」と子どもが考えるきっかけになれば十分です。抜け殻探しはセミの抜け殻はどこにある?、抜け殻の研究はセミの抜け殻自由研究で続けられます。

昆虫標本キットは必要?市販セットと家にある物の比較

最初の一匹なら、家にある物で展足台などを代用できます。密閉できる箱や使いやすいピンセットなど、足りない物だけ用意しましょう。キットが役に立つのは、昆虫針と展足板(脚を整える専用の台)をそろえたいとき、または標本をきれいに飾る箱が欲しいときです。

迷っている人向く選び方
死んだ一匹を残したいだけ発泡トレイ+まち針+木工用ボンド。箱はお菓子の缶
兄弟で毎年作りそう昆虫針(3号)と展足板をそろえ、箱は密閉できる市販の標本ケース
飾って見せたい、夏休みの作品にしたいガラスやアクリルのふた付き標本ケースを1つ
採集用の網や毒びんがセットの「昆虫採集セット」この記事の作業には不要。死んだ個体を残すための道具だけを選ぶ

市販のケースを選ぶときは、ふたの密閉性と、防虫剤を標本に触れずに置けるかを見ます。まずは一匹が収まり、持ち運ぶときに中で動かない大きさを選びましょう。

昆虫標本の作り方でよくある質問

生きているカブトムシを標本にしてもいいですか?

このサイトでは、標本のために虫を殺すことは勧めません。愛媛県総合教育センターの資料も、飼っていた昆虫が死んだときや落ちている昆虫を見つけたときに標本にし、生きた虫を観察することも大切にしています。残したいかどうかは、子どもの気持ちを聞いて決めてください。

腐ってにおいがする虫は、もう標本にできませんか?

体がやわらかくなり、においが強いものは標本に向きません。生死を確認したうえで早めに作業し、作業日まで置く場合は前述の冷凍保存を検討します。保存すれば必ずきれいに仕上がるわけではありません。間に合わなかったときは、写真に撮って手作りの昆虫図鑑に残す方法があります。

脚や触角が取れてしまいました

木工用ボンドで付け直せます。乾燥中や乾いた後に動かすと折れやすいので、形を直すのは乾く前に少しずつ。取れた脚を小さな袋に入れておき、乾いてから接着する方法も博物館の手引きで使われています。

標本を学校や園に持っていってもいいですか?

持っていく前に、針や防虫剤を使っていることを先生に伝え、持参してよいか確かめます。許可された場合も、箱が開かず中身が動かないよう大人が準備します。写真とラベルの写しだけを持っていく方法もあります。

参考情報

資料には採集した昆虫を処理する方法も含まれます。本記事で扱うのは、死んだことを確認した飼育個体や抜け殻を残す部分です。

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