虫が多い年と少ない年があるのは、育つ間の天気や食べ物、天敵、生息場所などの条件が変わるためです。ただし、虫が見つからない日があっても、その年の数が減ったとは限りません。 成虫が現れる時期や、探した日の天気によっても、出会いやすさは変わります。
去年はチョウが飛んでいた花壇に、今年は一匹も見当たらない。「どこへ行ったんだろう」と思ったら、虫の数だけでなく、花や天気にも目を向けてみましょう。
「少ない」と感じる理由は、三つに分けて考えられる

同じ公園へ行っても、去年と今年では、虫にも周りの景色にも違いがあります。まずは次の三つを分けると、何を確かめたいかが見えてきます。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。
| 変わったかもしれないこと | どんな違いか |
|---|---|
| その場所にいる虫の数 | 育つ途中で生き残った数や、その場所へ来る虫の数が違う |
| 成虫が現れる時期 | 去年と同じ日に行っても、今年はまだ早い、または盛りを過ぎている |
| その日の見つけやすさ | 天気や時間帯、探した範囲・時間が違い、目に入る虫の数が変わる |
この表は考えるための整理です。一つだけが原因とは限らず、いくつかが重なる場合もあります。
例えば、金沢市の2015年のセミ調査の解説では、ニイニイゼミが少なかった理由を断定していません。羽化が早く、調査の時期とずれた可能性と、その年の発生が少なかった可能性を挙げています。
見つけた数が少なくても、その理由まで分かったわけではないのです。
虫が育つ間には、食べ物や天敵の影響もある
卵から成虫になるまでに、どれだけ生き残るか。そこには、食べ物が足りるか、天敵に食べられるか、風雨にさらされるかといった条件が関わります。たくさん卵が産まれても、その全部が成虫になるわけではありません。
JATAFFの昆虫解説でも、虫の食べ物や、卵から成虫になるまでの期間は種類によって異なることが説明されています。ある種類がよく見つかる年でも、別の種類まで同じように増えているとはいえません。
チョウなら、蜜を吸う花だけでなく、幼虫が食べる植物も必要です。いつもの花壇の周りにどんな葉があるか、前と景色が違うかを見ると、飛んでいる成虫だけでは気づかなかった疑問が生まれます。
ただ、草が短くなっていたからといって、それだけで「今年少ない原因は草刈り」とは決められません。目の前で確かめた変化と、その影響についての予想を分けて考えます。
晴れた日が多い年なら、必ず増える?
英国では、2026年4月に発表されたチョウの長期調査結果が、この疑問を考える材料になります。よく晴れた2025年でも、調査全体としては平均的な年にとどまり、種類によって増減の様子が違いました。
これは英国の調査で、日本の公園の虫が同じように増減したことを示すものではありません。それでも、「晴れが多ければ、どの虫もたくさん増える」とは単純にいえないことが分かります。
その日に飛びやすい天気かどうかと、幼虫が育ち、次の世代を残せる環境かどうかは、分けて考えます。同じ方法で何年も記録を続けると、一年だけの結果では分からない長い変化も見えてきます。
次の散歩では、虫と周りの様子を一緒に見よう
まずは「去年と同じ場所だったかな」「今日は風が強いかな」と、気づくところからで大丈夫です。何匹も見つけることや、毎回ノートを書くことを目標にしなくても、同じ道を歩く楽しみはあります。
比べるのが面白くなったら、次のことを短く残してみましょう。
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| 残すこと | 後で比べるときに役立つ理由 |
|---|---|
| 虫の種類や見えた姿 | チョウとバッタ、成虫と幼虫をひとまとめにしないため |
| 日付・時間帯・天気 | 去年や前回と、出会った条件が違わないかを見るため |
| 歩いた場所と探した時間 | ちょっと立ち寄った日と、長く探した日を区別するため |
| 花や草など周りの様子 | 虫だけでなく、いた場所の変化も思い出せるようにするため |
環境省などのチョウ類調査マニュアルでも、天気や調査時間を記録し、歩く速さや見る範囲をそろえています。チョウの飛ぶ活動が天候に左右されるためです。
親子の散歩で専門調査と同じ距離や回数をこなす必要はありません。暑さや悪天候が厳しい日は見送り、無理なく出かけられる日に楽しみましょう。
書き残したいときは、観察ノートの用紙と記入例を使えます。虫を探したけれど見つからなかった日と、出かけなかった日は、分けて残すと後で迷いません。
よくある質問
一匹も見つからなければ、その場所からいなくなった?
一回の観察では分かりません。成虫が現れる時期とずれていたり、その日は活動が目立たなかったりする可能性もあります。「その日に見つからなかった」という結果を残し、機会があればまた訪れてみましょう。
去年と同じ日に行けば、比べられる?
日付は手がかりになりますが、それだけでは十分ではありません。時間帯や天気、探す範囲が違えば見つける数も変わります。虫が成虫になる時期自体が、去年とずれている可能性もあります。
虫が少ないと感じたら、何を調べればいい?
まず、どの虫を、いつ、どこで見た話なのかを確かめます。公園や博物館の観察情報も参考になります。長い期間の減少を考えるときは、一度の散歩の感想だけでなく、方法や期間が分かる継続調査を見ます。
去年の一匹から、今年の景色へ
「去年はここで見たね」と思い出したら、その場所をもう一度眺めてみてください。花は同じように咲いているか、葉の上に幼虫はいないか。成虫が見つからなくても、前は気に留めなかったものに出会えるかもしれません。
次に探す虫を変えてみたくなったら、月ごとの虫探しカレンダーへ。去年と同じ虫を待つ日も、今の季節の別の虫を楽しむ日も、親子の観察を続けるきっかけになります。






