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虫を知る

完全変態と不完全変態の違いは?さなぎになる虫・ならない虫

幼虫・さなぎ・チョウの絵カードを机に並べ、母親と育つ順番を見比べる子ども

完全変態と不完全変態の違いは、幼虫と成虫の間にさなぎの段階があるかどうかです。チョウとバッタの育ち方、ヤゴの姿、セミの抜け殻を比べながら、見た目だけでは決められない理由を紹介します。親子で図鑑や写真を見るヒントにも。

完全変態は、幼虫からさなぎを経て成虫になる育ち方。不完全変態は、さなぎの段階を経ずに成虫になる育ち方です。 チョウやカブトムシは完全変態、バッタやセミは不完全変態をします。

「チョウはさなぎになるのに、バッタはならないの?」「セミも殻から出るよね」。知っている虫を思い浮かべると、似ているようで違うところが見つかります。比べたいのは、成虫になるまでにどんな姿を通るかです。

違いは、幼虫と成虫の間にさなぎがあるか

卵から幼虫が出てくるのが「ふ化」。その先の育ち方を、チョウとバッタで並べてみましょう。

完全変態は卵から幼虫、さなぎ、成虫へ。不完全変態は卵から幼虫、成虫へ進む。チョウとバッタを例にした図
違いは、成虫になる前にさなぎを経るかどうか。幼虫の間の脱皮は、どちらにもあります。図は順番を示すもので、脱皮の回数や実際の大きさの比は表していません。 図を選ぶと拡大できます。

表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選んで左右キーで移動できます。

比べるところ完全変態不完全変態
成長の順番卵→幼虫→さなぎ→成虫卵→幼虫→成虫
さなぎの段階あるない
身近な例チョウ、カブトムシ、ハチバッタ、カマキリ、セミ、トンボ

幼虫と成虫の間にさなぎがある、というのが二つを分けるポイントです。幼虫と成虫が似ているかどうかだけで決めると、トンボのように迷いやすい虫もいます。

ここでは、身近な虫によく見られる二つの育ち方を比べています。昆虫にはシミの仲間のような「無変態」もあるため、すべての昆虫をこの二つだけに分けるわけではありません。

完全変態では、さなぎの時期に成虫の体がつくられる

葉を食べる幼虫と、羽を広げるチョウ。形が大きく違う二つの姿の間には、さなぎの時期があります。さなぎは外から見ると静かでも、中では成虫になるための変化が進んでいます。

さなぎは食べ物を取らず、幼虫の間に蓄えた栄養を使います。奈良教育大学の昆虫用語資料では、完全変態・さなぎ・脱皮などの言葉を確認できます。

完全変態の虫も脱皮をします。 チョウの幼虫は育つ途中で皮を脱ぎ、幼虫からさなぎになるときにも脱皮します。「さなぎになる虫」と「脱皮する虫」を、別々のグループと考えないのがコツです。

図鑑の幼虫・さなぎ・成虫を見ながら、「羽が広がる前は、こんな姿なんだね」と話せます。家で育ててみたくなったら、食べる葉や住まいの準備はチョウの幼虫の育て方を参考にしてください。カブトムシの幼虫なら、土の中でさなぎになる部屋を作ります。

不完全変態でも、姿や暮らしは変わる

小さなバッタを見ると、長い後ろ脚などに成虫の面影があります。それでも、幼虫の姿のまま大きさだけが変わるわけではありません。脱皮を重ねて育ち、成虫になります。

トンボの幼虫「ヤゴ」は、水の中で暮らします。水辺を飛ぶ成虫とは印象が違いますが、ヤゴから成虫になる間にさなぎの時期はありません。姿が大きく変わっても、さなぎを経ない育ち方です。

「不完全」という名前は、成長に失敗するという意味ではありません。さなぎの段階を経ない育ち方にも、成虫になるまでの変化があります。写真を比べるときは「小さい方にも長い脚があるね」「羽の形が違うね」と、似ている所と変わった所の両方を探せます。

セミの抜け殻は、幼虫が残した殻

木の幹についたセミの抜け殻を見ると、さなぎの殻なのかな、と思うかもしれません。でも、セミはさなぎにはなりません。地上へ出てきた幼虫が成虫になるときに脱いだ皮が、よく見つかるあの抜け殻です。

セミの羽化後に見られる、羽のある成虫と、幼虫が脱いだ空の皮である抜け殻を左右に並べた模式図
成虫の体と、残った幼虫の皮。セミの抜け殻を、さなぎの殻と取り違えないように見比べます。形を単純化しており、羽化の途中の姿や大きさの比は示していません。 図を選ぶと拡大できます。

井の頭自然文化園のミンミンゼミの羽化記録には、幼虫の背中が割れ、成虫が体を引き出して羽を伸ばす様子が紹介されています。成虫になるこの変化を「羽化」といいます。羽化は、さなぎになる虫だけの言葉ではありません。

抜け殻を見つけたら、背中の割れ目と、枝や幹につかまっていた脚を眺めてみましょう。「この形から、羽のあるセミが出てきたんだ」と考えると、空の殻にも育ち方の跡が残っています。実際の羽化を見たいときは、時間や場所、見守り方をセミの羽化観察で確かめられます。

親子で見るなら、同じ種類の幼虫と成虫を並べよう

手元の図鑑から、知っている虫を一種類選びます。幼虫と成虫が同じページに載っていれば、まずその二つを見比べてみてください。さなぎの写真もあるか、育ち方の説明も読むと、間の変化をたどれます。

ページにさなぎが載っていないだけでは、「この虫はさなぎにならない」とは決められません。写真が省かれていることもあるので、見えなかった姿と、そもそも通らない段階は分けて考えます。

写真を並べて楽しみたい子なら、幼虫・さなぎ・成虫の絵を描いて順番に置く遊びもできます。全部の虫を覚える必要はありません。公園で見たバッタ、家で育てたチョウなど、気になる一匹から広げてみましょう。

次に小さな虫を見つけたら、「この虫は、これからどんな姿になるんだろう」と一緒に調べてみてください。名前を調べるだけだった図鑑に、育つ途中の姿を探す楽しみが加わります。

完全変態と不完全変態でよくある質問

さなぎを見たことがない虫は、不完全変態ですか?

見たことがないだけでは判断できません。見えない所でさなぎになっていたり、観察していない時期に変化していたりすることもあります。その虫の種類と育ち方を図鑑で確かめます。

不完全変態の虫は、ずっと幼虫のままですか?

いいえ。バッタやセミも成虫になります。「不完全」は未完成の個体という意味ではなく、さなぎの段階を経ない変態の呼び方です。

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